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 RIの製造

 ラジオアイソトープ(RI)は、原子炉等で物体(ターゲット)に中性子を照射するか、あるいは加速器により荷電粒子を照射して、ターゲットの原子に核反応を起こさせて製造することができます。核反応により直接目的とするRIを得る方法と、得られたRIの壊変によって二次的に目的のRIを得る方法があります。製造されたこれらのRIは、癌治療等の医療用に、また非破壊検査に用いる工業用、トレーサ用RIと様々な用途に利用されています。


RIの製品例


 密封小線源治療用RIの製造
 密封小線源治療とは、小さなキャプセルやピン、管などに密封されたRIを腫瘍の近くに挿入し、線源から放出される放射線を患部に照射する治療法です。患部を切除することなく、根治後の生活の質QOL(Quality Of Life)の大幅な向上が望めます。

JRR-3で定常的に製造される密封小線源治療用RI

 金グレイン、イリジウム線源は東日本大震災以降、輸入に切り替えたことによる輸送コスト増加等の影響により国内頒布が半減しました。2021年にJRR-3が運転再開したことにより、国内頒布総数の内、金グレインは約3割、イリジウム線源は全数をJRR-3で製造しました(2021年度実績)。今後もJRR-3の安定運転によるRI照射を継続することで、がん治療後のQOL向上に貢献します。


 JRR-3を用いたモリブデン99(99Mo)製造に係る取組
 2021年6月18日に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」において、試験研究炉等を使用したラジオアイソトープの製造に取り組む旨が記載されました。原子力委員会では「医療用等ラジオアイソトープ製造・利用専門部会」を設置し、関係省庁協力の下、オールジャパン体制で医療用をはじめとするRIの製造・利用推進に係る必要な検討がなされ、2022年5月31日に「医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプラン」が策定されました。
  その中で、JRR-3においては、2025年度までに中性子放射化法(※1)による99Moの照射技術の確立を目指しています。99Moは年間約100万件の核医学検査・診断に使用されているテクネチウム99m(99mTc)の原料であり、100%輸入に依存しています。JRR-3の性能を有効に活用し、社会実装のための照射製造技術開発を推進します。



中性子放射化法による99Moの製造


(※1)中性子放射化法とは、モリブデンの同位体98Moに中性子を照射し、中性子捕獲反応を利用して99Moを製造する手法です。ウラン235核分裂法と比較して放射性廃棄物の発生を大幅に削減しながら、後続の処理スキームを大幅に簡素化するという主な利点があります。