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 中性子ラジオグラフィ

 中性子ラジオグラフィは、非破壊検査技術の一手法であり、X線またはγ線ラジオグラフィと類似した放射線透過法です。すなわち、試料に中性子ビームをあて透過してきた中性子ビームの強度分布を画像化する手法です。その特徴は、X線およびγ線が物質内の核外電子との相互作用により減衰されるのに対し、中性子は物質を構成する元素の原子核そのものと相互作用を起こして減衰される点です。X線は、物質内の自由電子密度に依存するため質量が大きくなる程減衰する傾向があります。これに対して中性子は、原子質量に依存することなく、吸収あるいは散乱の断面積に依存します。具体的には、中性子はX線またはγ線の減衰が小さい水素、炭素、硼素等を含む物質(例えば水やプラスチックあるいは有機物等)でも減衰像が得られ、またX線が透過しにくい鉄、鉛、ウラン等の重金属も透過するため、これらの重金属で構成された物質の内部を検査することができます。実用的に利用されている分野を列挙すると、1) 原子炉用燃料の健全性検査、2) 宇宙開発用各種ロケットやその起爆管、導火線等の火工品、エンジンノズル、各種電機部品の試験検査、3) 航空機エンジンをはじめとする各種タービンブレードの検査、機体のハニカム構造材腐食検査、4) 内燃機関内の燃料の輸送状況、潤滑油の状態、油圧装置類中の油の挙動観察等です。これら工業分野以外にも、美術品への応用、埋蔵文化財への応用、農業への応用等が挙げられます。


中性子ラジオグラフィ装置イメージ